2026W杯 スペインユース1部で働く日本人指導者が見る日本とスペインのサッカーを取り巻く環境の圧倒的な違い
- escuelafutbolirisa
- 7月22日
- 読了時間: 7分
こんにちは! ばやしコーチです。
2026年FIFA W杯はスペインの優勝で終わりましたね!
皆さん観てどう感じたでしょうか。
個人的にスペインで指導者をやってる身としては、スペインを選んで間違い
なかったなという結果になったので嬉しい限りではあります。
今回は、いろんなSNSを見ていても、森保監督のコメントでも、日本はスペインを見習う
べきだ、のような意見をよく見かけるので、戦術とかではなく、スペインのサッカーって
こう成り立ってるというところを紹介したいと思います。
育成年代(U-19まで)のサッカー環境
日本と同じように、スペインでも11人制のサッカーは中学生(12〜13歳)から始まります。小学生の間は、これは僕もバルセロナからバレンシア地方に来て知ったのですが、8人制でリーグをやる地域と7人制でやる地域があります。
今回は11人制を中心に話を進めていこうと思います。
前提として、スペインのサッカーというのは、ほぼ全てのクラブチームが日本でイメージ
するところのJ下部みたいな形で、トップチームがあって、U19にAチームからDチームとか
まであって、U16にまたAからFチームとかまであって、というような構造になってます。
ただバルサやビジャレアルなどのカンテラはAとBしかないことが多いです。
例えば自分が所属する街クラブで言えば、1つのクラブに小学生含めて、全カテゴリーで
65チームあります。
全てのチームがリーグ戦に所属していて、各チームに少なくともライセンスは持ってる
指導者がいます。
以下にバレンシア地方のU16のリーグ戦のシステムを紹介します。
イメージとしては九州地方で福岡、長崎、佐賀、大分くらいの距離感のリーグ戦みたいな感じです。

これがU16の2部リーグの4グループで、
この上に1部リーグが1グループあります。
日本では、ユースで考えるとプレミアが
1部で、プリンス1部がこの2部リーグ
みたいな形です。
この時点でもチーム数の差は日本とだいぶありますよね。
この4グループに約18チームいるので、
72チーム所属しています。
ちなみに九州のプリンスリーグは1部と
2部合わせても20チームですね。

そしてこれがその1個下のリーグなので、
日本で言うと福岡県1部リーグのような
ポジションです。
日本でこのカテゴリーのリーグには福岡や長崎など各県10チームしか所属してないのに対して、
バレンシア地方では12グループ、そして
各グループに16チーム所属しています。
つまり192チームですね。
もちろんここにはAチームが1部リーグに所属しているクラブのBチームとかも
含まれているので、192クラブでは
ありません。
アビスパユースBチームが福岡県1部に
いるような感じですね。
それにしても日本との大きな差は見られ
ますし、その分の指導者もいるということです。


そしてこれが1番下のカテゴリーになりますが、日本だと県2部のような位置付けになり
ます。
バレンシア県で19グループ、隣のアリカンテ県で12グループ、さらにもう1つの隣の県にも12グループ所属してます。各グループには14チーム所属しています。
バレンシア県だけを福岡県と比べると、
バレンシア県2部には266チーム所属
福岡県の2部と3部を合わせると108チーム所属
なので、倍以上違いますね。
この違いがなにを意味しているのか。どうトップに影響を与えるのか。
以下に書いていきます。
日本の育成現場の課題、難しい点
現在オンラインでサッカー選手の個人分析をやっているので、日本で実際に指導するよりも、1箇所ではなく日本全体の話やいろんなカテゴリーの選手の話を聞くことができ、問題点もよく感じます。
そのひとつが、中学や高校の1年生や2年生のチーム、そしてBチーム以下のリーグ戦の
少なさです。
上に例にあげた福岡県2部や3部も、2025年を見るとリーグ戦は1年間で10試合前後しか
していません。
一方スペインでは一番下のカテゴリーでも、14チームのリーグの総当たりをホームアンド
アウェーで行うので、26試合は試合をしています。
これを日本でできるのか、問題はいくつもあるとは思います。
日本との大きな違いとして、各クラブ自前のグラウンドを持っているということで、
グラウンドの問題が日本とは大きく異なるということ。
もう1つは引率する指導者の人数の問題で、日本だとBチームのコーチがAチームと試合
被ってるといけないとかありますが、スペインでは完全にAチームとBチームやCチームは
指導者も完全に別なので、被っていけないとかもありません。
当然その分指導者の数が必要になりますが、そんなに多くの指導者を日本で雇用できるかと言うと、そもそもスペインでも雇用はできていません。
日本はサッカーコーチは職業、または学校の顧問の先生等になることが多いと思いますが、スペインではほとんどが月4万円とかで、他の仕事と掛け持ちでやっています。
夕方まで普通に働いて、週2日か3日ほど夕方から夜に、このカテゴリーだと70分ほどだけ練習して、土日のうち1日だけ、自分のチームの試合にのみ行く形です。
それでもみんな少なくとも一番下のライセンスは持ってるし、自分のチームに全力出して指導しています。
これが日本で起こり得るのでしょうか。これくらいの活動時間ならやりたいと言う人もいるかもしれません。
ということはサッカーチームの活動の概念そのものを覆していかないとなかなか難しい気はしています。
机上の空論
サッカーの戦術でも机上の空論から始まることも多くあるので、当然実現には難しい所は
多くあるのは承知の上で、最後に机上の空論を書いてみます。
まず、各クラブ、高校や中学の部活も含めて、何チーム持っていようと、選手登録は
1チームでマックス25名まで、各チームに指導者も登録して、必ずリーグ戦に所属
させる。そもそもそれができない、見れないならそれ以上の選手はとってはいけない。
そして各都道府県サッカー協会は登録されたチームをもとにリーグ戦を振り分ける。
自チームのホームに振り分けられたグラウンドはクラブがそれに合わせて借りるなり
なんとかする。
グラウンドはスペインでは役所がサポートしてくれてる場合がほとんどなので、
そういった面でも日本は同じようにするのは難易度高いですね。
審判の問題もありますね。ちなみにスペインでU16カテゴリーなら、2部以下は
ラインズマンいません。主審1人派遣されます。もちろん報酬ありなので、日本でその形が取れるのか、そこはお金の問題も絡んできますね。
自分が日本でジュニアユースの指導者をやってた時は、同じリーグの指導者が交代で他の
チームの試合の審判やってましたが、そこに私情を挟まないでやれるのは日本人の国民性
かもしれないですね。
スペインでそんなことしたらライバルチームにレッドカード出し放題ですから。笑
最後に
こういったシステムがどうスペイン代表やスペインサッカー全体に影響を与えるのか。
スペインのサッカーは上澄みだけではなく、こういった育成年代のリーグ戦のサッカーの
システムができているから、例えばバルサをクビになってからうちのクラブに来てまた
バルサに戻る選手がいたり、スペイン全体で才能が埋もれにくい形ができている。
また、指導者に関しても、優秀な指導者は下からでも上に行けるシステムで、優秀な選手に優秀な指導者がマッチする形になりやすい。そしてその指導者たちは成績が出なければクビになるプレッシャーの中で、今回スペイン代表がやっていたサッカーを求められるため、日々のリーグ戦で結果を出しながら、簡単に言えばバルサのようなサッカーを、バルサ以外のチームも体現しようとしている。
その環境、指導者たちの元でプレーしてそれぞれ個人が戦術を蓄積させてきたのが今回の
代表選手たちでした。
しかも、それでいて、下のカテゴリーでもプレー時間を確保できるシステム。
これだけのチームに所属するサッカーが好きな選手の数、それを指導するボランティアに
近いけどサッカーが好きな指導者の数。
ここら辺は文化レベルで違いがあるし、日本人がここまでサッカーが好きになる日は来るのかどうか、どうでしょうかね。
スペインのサッカーをお手本にするのは、代表だけ見て、リーガの1部だけ見てできることではないと思っています。
日本サッカー協会がどう考えるか、何にせよ舵は切らないといけない状況ではあると
おもいますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また次回も見ていただければ嬉しいです。


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